「Greed is good.」(強欲は善だ)
と、ゴードン・ゲッコーは嘯きました。
映画「ウォール街」でのセリフです。聴衆の前でそう言い放つマイケルダグラスはとってもカッコいいですが映画の中のハナシです。本当の相場でこのような強気で臨むとまちがいなく退場させられます(苦笑)。
そこまではいかなくとも、普段のトレードで「あと10pips伸びてほしい!」と思っていたところ反転してしまい、利が乗っていたのに逆に含み損になる…「ああ、欲張らずにあそこで利確しとけばよかった!」なんてのは日常茶飯事です。
そうかと思えば、うまく利食いできたと喜んでいると、利確してからググンと伸びて悔しい思いをする。「ああ、もっと握ってれば大きく取れたのに!」となる。
そこそこでヨシとするか、もっと伸びるのを期待して握るか、実に悩ましい問題です。
「利食いが一番ムズカシイ」とはよく言いますが、利食いの幅や額面はその戦略や戦術、勝率、リスクリワード、資金管理にも関わってきますので、大変奥が深いものです。
足るを知る。
ぼくが心掛けているのが、やっぱり「足るを知る」ということ。
「頭と尻尾はくれてやれ」という格言があるように、天底をとらえてめいっぱい取ることは難しい。例えば、ひとつの波動で平均70pips動くとするならば、そのうちの20~30pipsを取れれば御の字としています。
でも、テキトーにちょこちょこ利食って、ドカンと負けていては、これまたよくいう「コツコツドカン」になりますので、トータルで負け越す可能性が高くなります。
ー そうならないように、
を実行しなければなりません。
どういうことかというと、
実際の相場でよくあるかたちを模式図にしましたのでご覧ください。
東京時間でレンジをつくり、それを欧州勢がブレイクさせてくることはよくあります。相場が動かないときゃつら機関投資家は儲けになりませんから莫大な資金で相場を動かしてきます。1日の相場サイクルの中でもっとも大きいのはロンドン市場で、東京時間のトレンドとは関係なく欧州時間からまた違った流れを作り出してくることが多いです。
テクニカルの定石として、レンジブレイクすると、「少なくともレンジ幅と同じ幅だけ下落する」のがセオリーですから、上図でいえば30pipsは堅いわけです。なんですが、そこを20pipsで利食っておく。
なぜなら、大勢が30pipsは落ちると思っているため、30pips達成したところでみんなが一斉に利食いを入れ、かつ逆張り派が買ってくる可能性があるからです。そうすると、ブレイクポイント(つまり、レンジ下限サポートだったのがレジスタンスに変わったレジサポ転換したところ)まで戻る目が出てきてしまうのです。
そうすると、せっかく含み益だったポジションがみるみるうちにプラマイゼロになり、ややもするとマイ転してしまうこともよくあります。これって精神衛生上ひじょーによくありません。ぼくは嫌ですね。
そして、このいやーな感情が次のトレードに影響したりしてくるのです。それが大怪我に発展してしまったら目もあてられません。
だから、欲をかかず30pipsが堅いところでも20pipsで利食っておく。10pipsでもよいのかもしれません。そのあたりは損切位置、つまりリスクリワードにもよります。
ぼくのいう「足るを知る」とは基本的にこのような考え方です。
その後のことは関係ねぇ!
さて、では上記のように20pipsで利食いし損ねて、建値の位置まで戻ってしまったとしましょう。
むしろ、トレードの教科書には「ブレイクアウト後の戻りで売るのがいい」と書いてあります。その通りです。最初のブレイクが1波、戻りを2波とすると、次の3波目がもっともよく伸びるとされています。なぜなら、最初のブレイクで乗れなかったトレーダーたちが大勢乗ってきて、かつレンジの下限で逃げそこなった買い手が損切するからです。だから3波がよく伸びるのです。
なので、1波目で利食えずに戻った場合は、戻ったところで”追撃”します。要は玉を増やすわけです。ここはある意味「強欲」なのかもしれません(笑)。まぁ増やさなくてもいいでしょう。
そして今度こそ20pipsそこそこで利食います。
はい、その可能性は高いです。でもよいのです。波動理論からいえば30pips以上伸びる可能性は高いでしょう。(3波は1波の1.618倍伸びるといわれます)。でも、伸びない可能性だってあるんです。もう含み益を飛ばしたくありません。もし今度も利益を取り損ねたら、おそらく「くやしい~~!!」という感情を引きずりながら次のトレードへの影響は必至でしょう。平常心でいられずにワケのわからないトレードを誘発してしまう可能性があります。トレードはなるべく冷静に、冷静に、冷静に対応しなければならないのです。
だから、もういくらこの後の相場が伸びようが、ビッグトレンドを取り損ねようが、自分が利食った後のことは関係ないのです。もし伸びたのを見ていると利食いできているにも関わらず「機会損失」しているような気になって「くやしい~~!!」という感情で、それこそいらぬトレードをしてしまうこともあるため、いっそのことパソコンを閉じてしまうのがいいでしょう。
利食い後に伸びようが
そんなの関係ねぇ!
という心持ちです。
恐怖ではなく、畏怖を
傲慢ではなく、自信を持って
相場と向き合っていきましょう。